ひとことで言うと

グリチルリチン酸2Kは、甘草由来のグリチルリチン酸を水に溶けやすい塩にした成分です。日本の化粧品・医薬部外品では「肌荒れを防ぐ」「整肌」の文脈でよく見かけます。

ただし、日常のスキンケアで期待できる位置づけは、湿疹、酒さ、ニキビ、接触皮膚炎を治療する主役ではなく、赤み・ヒリつきが出やすい時の守りのルーティンを支える補助候補です。DermaLensでは、グリチルリチン酸2Kを Level C とし、保湿・摩擦回避・紫外線対策を整えたうえで使う成分として扱います。

期待できる効果

目的エビデンスレベル実用上の見方
敏感肌・赤み時の整肌補助Level Cグリチルリチン酸2Kを含むエモリエントや甘草由来成分の研究から示唆はありますが、赤みの原因を診断する成分ではありません
バリア低下・乾燥時の保湿ルーティン補助Level C乾燥やヒリつきがある時に、セラミドやパンテノールなどの土台ケアと組み合わせて考えます
かゆみ・ヒリつきがある時の守りのケア補助Level Cかゆみが強い、湿疹、水疱、じゅくじゅくがある場合はセルフケアの範囲を超える可能性があります
軽いニキビ・マスク肌荒れ時の赤み補助Level Dニキビ治療成分ではありません。摩擦・蒸れ・洗いすぎで赤みが出る時の補助として見ます

なぜ効く可能性があるのか

グリチルリチン酸2Kは、甘草に含まれるグリチルリチン酸関連成分です。関連する18β-グリチルレチン酸のレビューでは、抗炎症、抗酸化、抗菌などの性質が皮膚領域で検討されています。一方で、化粧品として顔に使う場合、成分単独で「赤みが消える」「湿疹に効く」と断定できるほどの臨床根拠とは分けて考える必要があります。

成人のアトピー性皮膚炎寛解期を対象にしたグリチルリチン酸2K含有エモリエントの臨床研究や、乾燥肌を対象にした複合処方のランダム化試験はあります。ただし、これらは製品・処方・対象疾患・使用条件が限られます。日常の化粧品選びでは、グリチルリチン酸2Kだけでなく、基剤、香料、精油、防腐剤、同時に使う酸やレチノイドまで含めて判断します。

使い方、濃度、頻度、順番

まずは「守りの成分」として扱う

グリチルリチン酸2K配合製品は、化粧水、美容液、乳液、クリーム、日焼け止め、マスク荒れ向け製品などで見かけます。導入時は、刺激を攻めて抑える成分ではなく、保湿・整肌の一部として扱う方が安全です。

  1. 低刺激の洗顔、またはぬるま湯洗顔
  2. グリセリンヒアルロン酸で水分保持を補う
  3. グリチルリチン酸2K配合の化粧水または美容液を薄く使う
  4. セラミドNPパンテノールコロイド性オートミールなどを含む保湿で支える
  5. 朝は日焼け止め、帽子、日傘などで刺激を増やさない

赤み、ヒリつき、皮むけがある時は、顔全体ではなく一部から確認します。同じ日に新しいレチノイド、AHA/BHA、低pHビタミンC、精油配合製品を増やすと、反応が出た時に原因を切り分けにくくなります。

濃度表示だけで判断しない

グリチルリチン酸2Kは、配合量が公開されていない製品も多い成分です。医薬部外品では有効成分として表示されることがありますが、それでも赤みや湿疹を自己判断で治療できるという意味ではありません。

敏感肌では「濃いかどうか」より、しみない基剤、香料・精油の少なさ、摩擦が少ないテクスチャー、保湿成分との組み合わせを優先します。

相性の良い成分、注意が必要な成分

相性の良い成分

成分使い方
セラミドNPバリア低下が主役の時の土台として組み合わせやすい
パンテノールヒリつき後の保湿・整肌補助として方向性が近い
グリセリンヒアルロン酸乾燥でしみる時に水分保持を補いやすい
コロイド性オートミール乾燥とかゆみを伴う時の守りのクリーム設計で組み合わせやすい
ナイアシンアミドバリア・赤み補助の方向性は近いが、しみる場合は濃度と基剤を分けて見ます

注意が必要な成分

グリチルリチン酸2K自体がレチノールレチナールグリコール酸サリチル酸と強く拮抗するという意味ではありません。

ただし、グリチルリチン酸2Kを足したくなる肌状態は、すでに赤み、ヒリつき、乾燥、皮むけが出ていることがあります。その時期に刺激になりうる成分を同時に増やすと、何が合わなかったのか分かりにくくなります。併用が不安な場合は成分相性チェッカーで確認し、朝夜の順番はルーティンビルダーで増やしすぎていないか見直してください。

副作用、刺激、避けるべき人

グリチルリチン酸2Kは、一般的には低刺激設計の製品に組み込まれやすい成分です。ただし、低刺激に見える製品でも、反応が起きないことを保証するものではありません。

次の状態では、グリチルリチン酸2K配合製品を足すより、原因の切り分けや受診を優先します。

  • 水や保湿剤でもしみる
  • 赤み、腫れ、強いかゆみ、湿疹、水疱、じゅくじゅくがある
  • 甘草由来成分、植物エキス、香料、精油で反応した経験がある
  • ニキビが痛い、膿む、しこりになる、跡が残りやすい
  • 顔全体の赤み、ほてり、丘疹・膿疱が続き、酒さが疑われる
  • 美容医療後、ピーリング直後、強い日焼け直後

反応が出た場合は「鎮静成分だから続ければ落ち着く」と考えず、製品名、全成分表示、使った日、出た症状を控えて皮膚科で相談してください。

妊娠中・授乳中の扱い

グリチルリチン酸2K配合化粧品について、妊娠中・授乳中の使用を一律に禁止する根拠は確認していません。一方で、妊娠中・授乳中の顔や体への広範囲・高頻度使用について、十分な臨床安全性データがあるとも言い切れません。

DermaLensでは caution とし、妊娠中・授乳中、妊娠の可能性がある場合、通院中や処方薬使用中の場合は、新規導入や広範囲使用の前に担当医へ確認する方針にします。赤み、かゆみ、湿疹がある時は、成分を足すより先に症状そのものを相談してください。

よくある誤解

「グリチルリチン酸2K配合なら赤みが消える」

赤みには、乾燥、摩擦、接触皮膚炎、酒さ様症状、ニキビ炎症、日焼けなど複数の原因があります。グリチルリチン酸2Kは赤みの原因を診断したり、医療的な状態を置き換えたりはできません。数週間続く赤みやほてりは、赤み・肌の紅潮の受診目安も確認してください。

「医薬部外品の有効成分なら、敏感肌でも必ず安全」

有効成分として配合されていても、製品全体の基剤、香料、精油、防腐剤、使用頻度、同時に使う成分でしみることがあります。敏感肌では成分名だけでなく、今の肌状態でしみないかを優先します。

「ニキビにも使えるなら、ニキビ治療成分として考えてよい」

グリチルリチン酸2Kは、ニキビ治療の主役ではありません。詰まりが中心ならサリチル酸アゼライン酸のように別の根拠がある成分を低頻度から検討します。痛いしこり、膿、深い炎症がある場合は、市販ケアだけで長く見ないでください。

専門医へ相談すべきサイン

  • 赤み、かゆみ、湿疹、腫れ、水疱、じゅくじゅくが出る
  • 保湿剤や水でもしみる状態が数日以上続く
  • 顔全体の赤み、ほてり、丘疹・膿疱が続き、酒さが疑われる
  • ニキビが痛い、膿む、しこりになる、跡が残りやすい
  • 同じ甘草由来成分や低刺激製品で反応を繰り返す
  • 妊娠中・授乳中、通院中、処方薬使用中で使用可否に迷う

まとめ

グリチルリチン酸2Kは、敏感肌・赤み・バリア低下時の守りのルーティンに組み込みやすい整肌補助成分です。甘草由来成分やグリチルリチン酸2K含有エモリエントの研究はありますが、化粧品としての単独効果を強く断定できる段階ではありません。

まずは洗いすぎ、摩擦、レチノイドや酸系成分の重なりを減らし、保湿と紫外線対策を安定させます。その上で、グリチルリチン酸2Kは「原因を増やさず、守りのケアを支える補助」として、小範囲・低頻度から確認してください。

引用文献

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    RCT
    The Journal of dermatological treatment, 2003 PMID: 14522625
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    総説
    International journal of cosmetic science, 2019 PMID: 31166601
  5. 5.