ビタミンEを塗るとシミや日焼けを防げる?

トコフェロールはビタミンEの一種で、化粧品の抗酸化成分として使われます。ただし、人のシミやしわへの外用効果を、体内での働きや動物実験だけから判断することはできません。日焼け止めを置き換える成分でもありません。

ビタミンE(トコフェロール)とは

トコフェロールは、油に溶けるビタミンであるビタミンE のことです。皮脂にも含まれ、皮脂とともに肌の表面へ運ばれることが報告されています。化粧品では、肌を整える目的のほか、製品に含まれる油の酸化を防ぐ目的でも配合されます。

  • 成分表示での名前: トコフェロール
  • 誘導体: 酢酸トコフェロール などは、安定性を高めたビタミンE 誘導体で、別の成分です
  • 表示の読み方: 成分表示の後ろの方に書かれている場合は、製品の酸化防止が目的のことがあります
  • DermaLens の根拠レベル: D(人での試験は限られ、基礎研究や総説が中心)

ほかの抗酸化成分は抗酸化成分の一覧で比べられます。

DermaLens の根拠レベル(A〜D)

  1. A 複数のメタ解析、または複数の高品質RCTで一貫した支持
  2. B 単一のメタ解析、または複数のRCTで支持(Aの条件未達)
  3. C 観察研究・小規模RCTによる限定的な支持
  4. D 機序・基礎研究・専門家合意による間接的な根拠
レベルは「成分・目的・対象者」ごとの研究の確かさの目安で、効果の大きさや自分の肌での結果を示すものではありません。

引用研究の対象を確認する

文献の内容 このページでの位置づけ
ビタミンEクリームと可視光による色素の研究 期待する作用が得られなかった報告もある
マウスの光障害を扱う総説 人の顔に塗った時の臨床効果とは区別する
ビタミンC・Eを組み合わせたブタ皮膚の研究 単独のトコフェロール製品の効果とは言えない
人の皮脂中にあるビタミンEの測定 体内の分布の説明であり、美容液の試験ではない

それぞれPMID:29309242、PMID:11139138、PMID:12789176、PMID:10594744を参照してください。抗酸化成分の総説(PMID:17134430)があることだけで、外用ビタミンEのすべての美容効果を高く評価しません。

製品を選ぶ時に見ること

「ビタミンE配合」は、傷跡、色素沈着、日焼けの赤みに役立つ保証ではありません。保湿剤として選ぶなら、全体の処方、使用部位、刺激なく使えるかを確認します。トコフェロールとその誘導体も、名前が近いから同じ試験結果が当てはまるとは限りません。

サプリメントのカプセルを開けて顔に塗るなど、外用を想定しない製品の使い方は避けてください。保管方法や使用期限は製品表示に従います。

刺激・併用と妊娠中・授乳中の注意

赤み、かゆみ、腫れが出た場合は使用を中止します。「抗酸化成分だから肌荒れを抑えてくれる」と考えて刺激のある製品を重ね続けないでください。症状が続く場合は使用製品を皮膚科で伝えます。

妊娠中・授乳中の使用は、配合製品全体と使用部位を確認してください。引用した研究だけでは、この時期の安全性は確定できません。内服と外用の説明も分けて医師・薬剤師に相談します。

よくある疑問

ビタミンCと組み合わせれば紫外線対策になる?

抗酸化作用の研究はありますが、日焼け止めの表示性能の代わりにはなりません。日陰、帽子、衣服と日焼け止めを優先します。紫外線ダメージのガイドを参照してください。

傷や湿疹に直接塗ってよい?

通常の化粧品を傷や湿疹用の薬の代用にしないでください。じゅくじゅく、痛み、広がる赤みがある場合は診察を優先します。

朝と夜のどちらに使う?

製品の使用方法に従います。朝に使う場合も、日焼け止めの代わりにはなりません。

ビタミンE オイルやカプセルの中身を顔に塗ってよい?

飲むためのサプリメントや、濃度の高いオイルを肌に塗ることは、かぶれの原因になることがあります。顔には、化粧品として処方された製品を表示どおりに使ってください。

引用文献

  1. 1.
    RCT
    Journal of cutaneous medicine and surgery, 2018 PMID: 29309242
    この研究形式の読み方

    比較する群を無作為に割り付けた試験です。人数・期間・比較対象・配合成分も確認します。

  2. 2.
    総説
    Drug metabolism reviews, 2000 PMID: 11139138
    この研究形式の読み方

    既存の知見をまとめた総説です。系統的な収集や統合を行うレビューとは区別します。

  3. 3.
    動物実験
    Journal of the American Academy of Dermatology, 2003 PMID: 12789176
    この研究形式の読み方

    動物での研究です。人への外用や市販製品にも同じ結果が出るとは判断できません。

  4. 4.
    総説
    Journal of cosmetic dermatology, 2004 PMID: 17134430
    この研究形式の読み方

    既存の知見をまとめた総説です。系統的な収集や統合を行うレビューとは区別します。

  5. 5.
    観察研究
    The Journal of investigative dermatology, 1999 PMID: 10594744
    この研究形式の読み方

    使用状況などを観察した研究です。関連があっても、原因だと確定できるとは限りません。

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