その症状、本当はどういう状態か
「クマ」は原因が全く異なる 3 つのタイプに分けられます。タイプを正しく判断しないと、間違ったアプローチで効果が出ません。
3タイプの鑑別方法
| タイプ | 色調 | 見分け方 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 茶クマ(色素型) | 茶褐色 | 引っ張っても色が変わらない | 摩擦・UV・色素沈着 |
| 青クマ(血管型) | 青〜紫 | 指で圧迫すると薄くなる | 血行不良・皮膚の薄さ |
| 黒クマ(構造型) | 黒〜影 | 上向き・下向きで変わる | 凹み・加齢による影 |
多くの場合、2〜3 タイプが混在しています。
外用スキンケアで比較的狙いやすいのは「茶クマ(色素型)」です。青クマは血行・睡眠・保湿、黒クマはフィラー等の医療的処置の適応評価が中心になります。
主な原因
茶クマ(色素型)の原因
- 目をこする習慣: 目周囲の皮膚は非常に薄く(約 0.5 mm)、摩擦で炎症後色素沈着(PIH)が起きやすい
- 紫外線・炎症: UV や慢性的な炎症がメラノサイトを刺激
- アトピー性皮膚炎: 目周囲の湿疹・摩擦で色素沈着が生じやすい
青クマ(血管型)の原因
- 血行不良: 睡眠不足・疲労・冷え。静脈血(脱酸素化)が透けて青く見える
- 皮膚の薄さ・透明度: 目の下の皮膚が薄く・透明度が高いほど血管が透けやすい
- 加齢: 真皮コラーゲンの減少で皮膚がさらに薄くなる
黒クマ(構造型)の原因
- 涙袋の突出: 眼輪筋・脂肪の突出が影を作る
- 目の下の凹み(tear trough): 加齢で目の下が凹みクマに見える
- 加齢性皮膚弛緩: 下まぶたのたるみ
推奨される成分(エビデンス別)
茶クマ(色素型)に対して:Level A 推奨
ビタミン C(L-アスコルビン酸) チロシナーゼ阻害・メラニン還元。目の下の色素沈着に有効。ただし目の周囲は皮膚が薄く刺激が出やすいため、低濃度から使用(5〜10%)。
ナイアシンアミド(2〜5%) メラノソーム転送阻害。刺激が少なく目周囲の繊細な皮膚に向いている。
青クマ(血管型)に対して:Level B
保湿(セラミド・ヒアルロン酸) 皮膚を水和させることで「厚み感」が増し、血管の透け感が若干軽減される。直接的な効果は限定的。
カフェイン(外用) 一部のアイクリームに配合。一時的な血管収縮・むくみ軽減作用が期待されるが、エビデンスは限定的(Level C)。
全タイプ共通:Level B
レチノール(低濃度:0.025〜0.05%) コラーゲン産生促進で目の周囲の皮膚を支え、血管・色素の「透け感」を軽減する可能性がある。目周囲は薄く刺激が出やすいため低濃度・低頻度から慎重に。
セラミド配合アイクリーム 薄く乾燥しやすい目周囲のバリアを維持。
Level C 補助的
センテラ・アジアチカ 抗炎症・コラーゲン産生促進。アイクリーム成分として使用。
ビタミン E 抗酸化・保湿補助。
黒クマ(構造型)について
外用成分では根本的な改善が難しいタイプです。
- フィラー(ヒアルロン酸注入): tear trough(涙溝)の形状によって適応がある場合に検討される
- 脂肪注入: より持続的な充填
- 外科的処置: 眼窩脂肪の再配置
推奨ルーティン例
AM(朝)
- 洗顔(目元は強くこすらない)
- ナイアシンアミド配合の軽い美容液
- アイクリーム(セラミド・ヒアルロン酸・ビタミン C 配合)
- 日焼け止め(目の下も無理のない範囲で。UV が茶クマを長引かせる場合がある)
- コンシーラーで補正(色補正: オレンジ系コンシーラーが茶・青クマに有効)
PM(夜)
- アイメイクは専用リムーバーで優しく除去(こすらない)
- セラミド・レチノール(超低濃度)配合アイクリームまたは
- 専用アイクリーム: ナイアシンアミド + レチノール 0.025% を目周囲に薄く
生活習慣(青クマ対策)
- 十分な睡眠(7〜8 時間)
- 頭を心臓より高い位置にして寝る(むくみ防止)
- 塩分摂取を控える
- 目をこする癖を意識して止める
専門医に相談すべきサイン
- 非常に濃い・広範な茶クマで外用ケアが無効(ケミカルピーリング・Qスイッチレーザー)
- 凹み(tear trough)が目立つ場合(ヒアルロン酸フィラー等の適応を相談)
- 黒クマ(たるみ・構造的原因)が気になる場合(外科的処置を美容外科・形成外科で相談)
- クマとともにまぶたの腫れ・充血・多量の涙がある場合(眼科疾患の除外)
引用文献
- 1. システマティックレビューThe Journal of dermatological treatment, 2022 PMID: 34525885
- 2. RCTThe effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer.The British journal of dermatology, 2002 PMID: 12100180
- 3. RCTPhotodermatology, photoimmunology & photomedicine, 2014 PMID: 24313385
- 4. システマティックレビューJournal of the American Academy of Dermatology, 2014 PMID: 24438951